なんらかの内服薬による副作用として、体がよく震えるように
なった。


はじめて振戦を経験したとき、「地震だ、これは大きい」といって深夜の
3時頃、家中の者を起こして地震注意を呼びかけてしまった。近しい友人の安否が気遣われる。しかし誰も揺れを感じてはいない。自分はガラスのコップを
机に置き、水をそそいでじっと視る。すると水面が小刻みに震えているではないか。本当は自分の体の震えが水に伝わっただけだったのに。
天井から下がっている電灯のスイッチも大きく揺れていたから間違いないと思ったのだが、これは幻覚という結論に達した。


パソコンのウィンドウがチラシのようにはがしたりするユーザーインターフェースもまた、幻覚。


貧乏揺すりでもなく、パーキンソン病のような、「アキネトンはぁはぁ」
という揺れではないが、あまり気持ちのよいものではない。


この日は前日の薬のODで、ひどい健忘を起こし、地震だと触れ回って、
パソコンの前でブツブツつぶやき、時には叫んだという。

あまりにも恥ずかしすぎる。ついに気が触れたかと思わせるに十分なインパクトだった。一連の所作を見ると、これはもはや次のフェーズに移行したと、皆悲嘆にくれていた。